毎日の様に降り続いていた雨が止み、抜ける様な青空が広がり始めた午後の事だった。

 音無 琴音(オトナシ コトネ)はヴァイオリンケースを抱えたまま聖アリス学園の門の前に立ち尽くしていた。

 琴音が想像していたより数倍も大きい門に思わず口を開けていたらしい。

 門の右側の柱で遊んでいた2人の男の子に話かけられてしまった。


「お姉さん、こんな所で何してるの?」


「こんな時間に何してるの?お散歩かな〜兄弟」


「そうだね〜兄弟」


「さっき口開けてたでしょ?」


「恥ずかしいね〜」


「ね〜」


 声を揃えて発言する2人は、顔や服、声や仕草までもがそっくりでまるで双子の様だった。

2人はクスクスと笑いながら琴音を見つめている。


「お姉さんってさ…敵?侵入者?敵なら殺さないといけないね〜兄弟」


「兄弟…こんな可愛い子が敵な訳無いだろ?」


「見た目で決めちゃ駄目だってナイトメア言ってたし…殺しちゃおうよ」


「駄目だよ、兄弟。アリスの許可を貰わないと」


「えー…」


「ここは現実なんだから」

っと、そこで2人の会話が切れて2人は琴音の方を向いた。


「お姉さん、遊んでよ」


「殺し合いが良いな〜」


「……え?」


「戦って僕達が勝ったら僕達が正義って事で」


「お姉さんも殺せるし一石二鳥だね♪」


 どこから取り出したのか2人は巨大な斧を手に持って琴音に突き付けた。