「だから未遂だって。
まだ信じねーのかよ。」

ポケットに繋がるイヤホンを耳にはめた
高橋は苛立ちを表す口調で言った。

「そうじゃなくて
私らって敵同士じゃないの?」

顔を上げて高橋は目を丸くして
私を見ている。

「敵同士…??」

そんな驚かないでよ。
第一、この祖先の話は
あんたから話始めた事じゃない。

「あんた自分の祖先のこと
誰から聞いたの?」

「えっ…じいさんが…」

じいさん…。
もしかしてこの前、
コンビニの帰りに会った
おじいさん……??

「もしかしてあのベンチに座ってた
おじいさんってあんたの祖父!?」

興奮して聞くと
「お前も会ったのか」
と溜め息で返してきた。

「残念ながら
俺の祖父ではない」

「は!?」

私の大声が車内に響く。

「本当か分かんないじゃん!!」

私の信じられないという叫びに
高橋は笑いを堪えながら
何度もうなずいた。

「なにそれ〜」

私は脱力する。
答えを求めた結果がこれだ。

「じーさんにやられたな」

「私はあんたにやられたよ」

小さな溜め息を溢すと
隣から小さな笑い声が溢れる。