この時期
わざわざ隣町まで
一緒に行ってくれる
人なんていないよね。
一人で行くのも微妙だし…。
私は目の前でチャリを漕ぐ
高橋に大声で言った。

「電車乗るよ!」

私たちは近くの最寄り駅に
自転車を止めた。

駆け込み乗車した電車は
夕方なのに空いていて
ここは田舎だなと改めて感じた。
私が端に座ると高橋がその隣に
座ったので、なんで隣に座るんだよ
と睨んでみたが相手にされなかった。
もしかしたら、今、人から見れば
私たちはカップルに見えるかもしれない。
嬉しい気持ちと裏腹に
高橋が彼氏かよ、と
少々不愉快に感じた。

「そういやさ」

する事がなくウォークマンを聴くのも
相手には失礼だと思い
ケータイをいじりながら聞いた。

「なんで私の祖先が
妃だったって嘘ついたの?」

mixiのボイスを見てみると
すみれが青春している事がわかる。
私はそこで“嘘つき”と呟いた。