彼を家に招いた時点で、こうなることを想定はしていたし、もちろん少し期待もしていた。

でも、いざこうなってみると、何か違う気がする。

ずっとこうなりたいと思っていたし、今だって夢を見ている気分なのに。でも何かが心の奥でつっかえている。

「吉良く……!」

普段大人しい彼からは想像出来ないような激しいキス。本能をぶつけるように、私の唇を貪る。

耳にかかる吐息が熱い。羞恥心を押し殺して少しだけ目を開くと、顔を上気させた吉良くんの熱っぽい眼差が私を突き刺す。

顔が赤い……耳も、首筋も。

やっぱり、酔ってるんだ。それか、熱のせいでおかしくなってるのかもしれない。とりあえず言えるのは、今の彼は正常じゃない。

「吉良く……や……!」

「嫌?なにを今更」

初めてみる強引な彼に、心臓がバクバクと悲鳴を上げる。ざらり、耳を熱い舌でなぶられれば、自分の意志に関係なく甘い声が漏れる。

彼から与えられる言葉に出来ない快感に身を捩る。嬉しいのに、寂しい。

「……どうしたの」

「え……?」

激しい愛撫が止まる。嵐のようなキスが止む。はっ、はっ、と息を荒げた彼が私を見下ろしている。

「なんで……泣いてるの?」

泣いてる?私が?

ぱちぱちとまばたきをすると、熱い滴がこめかみを伝って流れ落ちた。