「う…きゃー!!」

『叫ぶなっっっ
どけどけー!!』

前を歩く人たちは
左右に避けて行く。

速く速く進む。
周りの景色が
あっと言う間に過ぎて行く。

『ほらよ。』

少し無愛想だけど
ひょいっとあたしを下ろした。

『寝てろよ?
あと、飯食えよ。
お前軽すぎ。』

それだけ言うと
平野は前を歩いていった。

「ばーか。」

小さく呟いた。
その言葉とは裏腹に
赤くまた、顔が火照り出す。
とりあえず今日は
保健室でサボろう。


布団にはいると
睡魔が襲ってくる。
珍しく朝早く起きたからかな。

気がついたらもう
日は傾き始めていて
また授業も受けずに帰る。


玄関先には
下校中らしき生徒が
ガヤガヤと騒いでいる。
その間を割って入るように
すり抜けながら
自分の靴を取って
校門から出た。

『あ。』

ちょうど平野も帰りのようで
出くわしてしまった。

『出たぞサボり魔。』

「なっ・・・
別にサボり魔じゃないわよ。」

ケラケラまた笑い出す。

『しゃぁねぇから
送ってやるよ。
一応病人だしな。』

平野はそう言うと
あたしの前を歩き始めた。

「ちょ・・!!
あたしの家
知ってるの?!」

『知らねー・・・
いーじゃん。
着いて行ってやるよ。』