「強いね、
美紅は。」

「強い?
あたしが?」

「うん。
あたしなら無理だよ。
不毛過ぎるもん。」

彼女がいて
おまけにモテて
しかもフられて。

こんな悪条件
ほかにはあるだろうか?

「好きなの。
ほんとに。」


「そっか……

それならいーんだけどさ。」


「話変わるんだけどさ
あたしね、髪の毛
切ることにしたんだ。」

サラリと伸びた
少し茶色がかった髪。

「えっあんた
勿体ないことを…!!」

そー思うも無理ない。
長さはちょうど
腰の位置だろうか。

三年間延ばし続けた
長い髪にさよならする。

「今更古いかな

フられたら髪の毛
切るって言うジンクスなんて。」

「やっ……

古くないけどさ。」

にっこりと
不安そうな紗枝に
微笑んであげた。

「大人になるの。
もぅ迷うのは嫌。

自分なりの
気持ちの切り替え。」


得意そうに笑ってあげた。


今の笑顔は偽物じゃない。
明日の強くなる自分への
少しの強がり。