桜が舞い散る中
一つ年を重ねた。
あたしは始業式の間
裏庭の芝生に寝ころんでいた。
口うるさい校長が
長々と話を組み上げて
表面だけの諸注意を並べる。


ふと見上げると
桜がひらひら舞う。
眩しいくらいの太陽が
頭上をちかちか交差する。

手のひらをあげて
開けばその隙間から
光が射し込み目が
クラクラしそうになる。

ゆっくり目を閉じて
匂いを肺まで入れる。

まだ青々とした
若葉の匂いがする。


すぅっとまた息を吸い込み
安らかに眠りに付こうとする。



バサッッッ


「ふ えぶっっ!!」
『なんつー声
出してんだよバーカ。』

はっ……?
だれこの子…。

普通に上着投げられて
その上バカまで言われて…


すっごいすごい
気が悪い。

「なんなんですか
ってかあなた誰?」

『人に名前を聞くとき
自分から名乗れって
小さいとき言われなかった?』
ケラケラあたしをからかうように
あざ笑いながら見下ろす。

「本田 美紅 17歳。」

それだけ言うと
すっと立ち上がり
そいつを睨みながら校舎に向かって歩いて行った。

『ねぇっ!
俺、平野 隆斗!!
おんなじ17歳
仲良くなぁー!!』

誰があんな奴と。
それが第一印象だった。