冷たい月




『あのさ』



テンが俺を見た。


大きな瞳に俺が映ってるのが見えて

そのまま

吸い込まれてしまうんじゃないかと…




『先生?なんですか??』




見とれて言葉に詰まっていた。


『テンはさ…』




『璃空…璃空でいいですよ』



『えっ!?』



『テンじゃなくて、璃空って呼んで下さい』



あまり突然の事で
驚きを隠せなかった。


足がピタッと止まってしまった。




『…り…く…、あのさ…』



なんで、こんなに緊張してるのか
わからなかった。



テンが…璃空が
不思議そうに少し先で俺を見ていた。