【昔々ある王国に不思議な粉と呪文を使う妖精さんが居ました。彼女は国から重宝され大事に大事に、こき使われて生活してきたのです。これは彼女の15歳の誕生日の話―…。】

妖精『今日から私も15歳!もう国王にこき使われる生活にも飽きてきたわ…はぁ』

【妖精さんの1日は大抵溜め息から始まります。今日も変わらず…。】

「コンコン」

【ドアをノックする音が城の隙間のような納戸、妖精さんの部屋に響きわたりました】

妖精『はぁい。どうせ、ジジイだろ、かかってこいやぁぁぁぁぁぁ!』

国王『やぁ、おはよう』

【ジジイは爽やかに笑って妖精さんの髪の毛をちょん、と撫でました】

妖精『今日が何の日か、てめぇ知ってて私の部屋に来やがったのか!!?あぁん!?』

国王『勿論さ!ところで、マリア、日本という国は知っているかい?』

妖精『いや、俺マリアじゃねぇし!日本なんて国知らねぇし!』

国王『そうか、そうか。じゃあ、とりあえず日本へ行って我が国の名を広めて来ておくれ』

【妖精さんの話をオールスルーしながら国王は腕を振り回して、マリアではない妖精さんを空へ吹き飛ばしました。
妖精さんは粉を振りまきながら飛びます。可憐に無様に。】

妖精『覚えとけー!いや、忘れて良いよ、私のこと…』

【苦笑いしながら悲しげに妖精さんが呟いている内に、そこは日本でした】