「しかし、社の情報を多数抱えた機械ですので、情報流出を避けるために恐れながらそれは──」

「企業の人間にしか許されないなら、私もこの企業に就職するなり、投資するなり何だってする」

「ですが──」


女性型アンドロイドは、困った顔で考えたあと、


「……分かりました。それでは、カワヤギ様の意向に沿いましょう」


その瞬間は飛びたいほど嬉しかったのだけれど、何とかその気持ちを抑えて、落ち着きを保った。





ちらっと横にいたヨルに視線を送ると、彼は無音の声──口だけで「ありがとう」と言っていた。