Dangerous city

連日ニュースや新聞で報道されているので、一般人のハルカでも知っている。

K国は数十年前から、日本をはじめとする近隣諸国に工作員を送り込み、その国の一般市民を拉致してきた。

目的は様々だ。

優秀な人間を国に連れ帰って強制的に働かせる為。

外交のカードとしての人質とする為。

工作員として訓練を積ませ、K国の駒とする為。

八戸が拉致された理由は三つ目だった。

女スパイに仕立て上げ、日本に再び送り込み、国内の情報をK国に送らせる。

日本人が日本に潜入した所で、誰も不審には思わない。

ましてや女だ。

警察官や自衛官さえも油断を誘われる。

まだ幼かった八戸は親元から無理矢理に連れ去られ、泣きじゃくるのも無視して偽装貨物船のコンテナの中に閉じ込められ、その扉が開いた時には遠く海を隔てた独裁国家…K国に拉致されていたのだという。