Dangerous city

八戸の言葉に、俺とハルカは絶句する。

「犯されて孕まされても不思議ではないって…この日本に、そんな人権を無視したような土地がまだ存在するの…?」

ハルカが恐る恐る言う。

俺も同意見だ。

先進国であり、文化レベルも文明レベルも高水準のこの国に、そんな土地が…。

そう考えかけて、俺は気づいた。

八戸は『私の育った土地』と言った。

それが日本であるとは一言も言っていない。

それを裏付けるように。

「私は…ある年齢までしか日本にいなかった…」

抑揚のない声で八戸が言う。

その声で語るには、彼女の半生はあまりにも苛烈すぎるものだった。

「私は子供の頃…K国の工作員によって拉致され…K国に連れ去られた…」