Dangerous city

暴徒の群れが悶絶している間に、少しでも遠く、少しでも安全な場所へ。

俺達は呼吸の続く限り走り続け、周囲を確認しながら建物の中へと身を隠した。

…拳銃を構えたまま、物陰から様子を窺う。

錯乱者達が追って来る様子はない。

何とか逃げ延びる事ができたようだ。

「ふぅうぅぅ…」

その場に腰を下ろし、大きく息を吐く。

生きた心地がしなかったというのが正直な感想だ。

よくあの群れから逃げ延びられた。

凶器を持ち、殺人や強姦に全く良心の呵責を感じない錯乱者の群れから、誰一人欠ける事なく逃げられたのだ。

奇跡といってもいいくらいだ。

「…いったあぁあい…」

瞳から涙をポロポロこぼしながら、ようやくハルカの視力も回復してきたようだった。

思えば逃げる事ができたのは、彼女の機転のお陰だ。

満更足手纏いでもないという事か。

俺は目を擦るハルカの横顔を微笑ましく見ていた。