Dangerous city

ハルカの手から投げ放たれたスタングレネードは、ちょうど八戸が押し倒され、錯乱者達に群がられている辺りに落ちた。

強引に両足を割り開かれ、今にも侵入されようとしていた八戸。

その付近で、スタングレネードが炸裂する！！

「！！！！！！！！！」

スタングレネードは爆発の瞬間、600万から800万カンデラの閃光（日本最大の灯台が200万カンデラ）と1.5メートル以内に160から180デシベルの爆音（飛行機のエンジンの近くで120デシベル）を発する。

そんなものが至近距離で炸裂したのだ。

流石の錯乱者達も視覚と聴覚を一時的に失い、その場で悶絶せざるを得ない。

「目がっ…いたぁああぁぁいっ！」

スタングレネードを投げたハルカ本人も目を押さえて苦しむ始末。

しかし俺と八戸は、訓練でスタングレネード投擲の瞬間に目を閉じるよう仕込まれている。

反射的に視覚だけは守り、閃光に目を眩ませる事はなかった。

俺は咄嗟にハルカの手を握り、八戸は錯乱者達の無数の手を払いのける。

…こうして俺達3人は、何とか錯乱者達の包囲網から逃げ延びる事に成功したのである。