その事に驚愕しつつも、何とか八戸を助けようとする俺。

しかし錯乱者達が群がってくるのは八戸にだけではない。

ハルカにもまた、正気を失くして目の色を変えた暴徒どもがにじり寄ってくる。

俺が八戸を助けようと気をとられれば、その隙にハルカが連中の餌食になってしまうだろう。

それだけに動けない。

迂闊に八戸の元へはいけない…!

どちらかを助ける為にはどちらかを見殺しにしなければならない。

そんな命の天秤に歯噛みし、悔しさに気が狂いそうになる。

その時だった。

「八戸さんからっ!!」

俺の背後でハルカが何かを取り出した。

それは先程八戸から受け取ったばかりのスタングレネード!

ハルカはそのピンを抜き、大きく振りかぶる!

「離れなさいよぉっ!!!」