「八戸!」

思わず俺は彼女を怒鳴る。

「無闇に殺すな!一般人だぞ!」

「一般人…?」

八戸の何の感情もこもらない瞳が、俺に向けられた。

「違う…彼らは『化け物』…正常な神経も理性もなくした…人の形をしているだけの化け物…人権なんて…ない…」

そう言って彼女は、襲い来る錯乱者にまた1発撃ち込む!

散弾を受けた錯乱者の頭部が柘榴のように弾け、元は頭部のあった場所から噴水の如く鮮血が迸り出た。

赤黒い血液が、周囲の錯乱者達に降り注ぐ。

それでも彼らは、恐れを知る事なく歩を進める。

まるで呪術者に操られる不死の軍勢のように。

八戸は俺とハルカに対して言う。

「この状況を見ても…彼らが人間だと言える…?」