その八戸の歩みが、ピタリと止まる。

「……!」

少し遅れて、俺も『それ』に気づいた。

「…え?…どうしたのよ恭一?」

唯一ハルカだけが気づかず、急に緊張の糸を張り巡らせた俺と八戸を見ていた。

「ハルカ、俺から離れるなよ…」

彼女を庇うように立ち、拳銃を両手でしっかりと保持する。

八戸もまた、ライフルから背中のショットガンに持ち替え、ポンプアクションで弾丸を装填した。

「少し…長話が過ぎたよう…」

油断なく周囲に視線を配る八戸。

その視線の先。

コンクリート塀の向こうから。

民家の屋根から。

凶器を手にした錯乱者達がゾロゾロと姿を現す。

逃げようにも、背後からも連中は群がってきていた。