Dangerous city

『俺もそれは調べてみたんだが』

六道さんが言う。

『どうやら電波の発信元は、例のK国らしい』

K国。

『元帥様』と揶揄して呼ばれる国家元首が掌握しているアジアの独裁軍事国家。

核開発、日本や周辺諸国の人間の拉致、自国亡命者の処刑、領海侵犯など、連日のように報道されている事から、政治に疎い者でもK国の存在を知らない者はいないだろう。

いわゆる『ならず者国家』として、国連決議による経済制裁も何度も受けているような国で、国民は貧困に喘ぎ、最近では原因不明の疫病まで蔓延し始めたらしく、国の状態は決してよくないと聞いている。

K国は日本海を隔てた向こう側だ。

確かに山陰地方に位置するこの都市になら、電波ジャックも可能かもしれないが…。

「一体どんな類の電波を?」

『そこまではまだわかっていない。公安で調査中だが…』

六道さんは声を潜めた。

『永瀬、気をつけろ…その街の異常は、K国が一枚噛んでいるかもしれん』