Dangerous city

躊躇っていると。

「はい」

八戸がハルカに何か手渡した。

…それは拳銃ではなく、円筒型の物体。

いわゆるグレネード(手榴弾)だった。

「ここのピンを抜いて…投げるだけ…」

「え、ちょっ…こ、これは…」

グレネードと言えばいわゆる爆発物だ。

気の強いさすがのハルカも受け取るのには躊躇するが…。

「大丈夫…これはスタングレネード…」

八戸が言った。

スタングレネードとは、爆音と閃光を発する事で人間の視覚、聴覚および平衡感覚を一時的に麻痺させる事が可能な手榴弾だ。

基本的には殺傷力はなく、あくまで制圧の為だけに用いられる。

使用方法もピンを抜いて投げるだけ。

素人のハルカに適した武器だった。