Dangerous city

怒りはおさまらないままだが、確かに八戸の言っている事は正論だった。

ここで八戸を逮捕した所で、無事に街を脱出できなければ何の意味もない。

そして街を脱出するには、八戸の助けも必要となる。

苛立たしげに八戸を放し、俺は荒く息を吐きながら手にした拳銃を確認した。

ベレッタM92。

9ミリパラベラム弾を15発装填可能なイタリア製の自動拳銃だ。

「弾薬も多めには持っているけど…無駄弾は撃たないで…」

胸ぐらを掴まれた事などまるで気にしていないように、無表情で八戸が言う。

「誰に言ってる」

俺はべレッタの動作確認をした後、セイフティ(安全装置)を解除した。