Dangerous city

つまり八戸は、この街で行動する間だけ、俺達と組みたいと言っているのだ。

「お前を信用しろっていうのか?」

睨みを利かせる俺。

「…悪い話ではない筈…こちらの要求を呑んでくれるなら…武器も支給するし…危険な時は助ける…この街を出るまでは…貴方にも二宮ハルカにも手は出さない…」

確かに悪い話ではない。

今の俺達は丸腰だ。

脱出の為の武器が手に入るというのは願ってもない話だ。

何より凄腕の八戸が味方につくというのは魅力的だ。

この女がどこまで信用できるかは分からないが、八戸がテロリストとして優秀なのは、俺が身を以って経験している。

「……」

無言のまま、しばし思案にくれる俺。

八戸は急かすでもなく、焦らせるでもなく、ただ無言無表情で俺の出方を見ている。

『私はどちらでも構わない』

そう言いたげな瞳だった。

それが癪に障るといえば障るが…。

「おかしな真似をすれば、俺は容赦なく背中から撃つ。構わないな?」

俺は八戸に言ってのける。

「…交渉は…成立したと考えて構わないようね…」

八戸は屋根の上から軽やかに飛び降りた。