それならば…。

俺はもう一つの疑問も八戸にぶつけてみる事にする。

「何故俺達を助けた?」

「迷惑だった…?」

無表情のまま、八戸は俺の質問をはぐらかす。

何度も言うようだが、俺は警察、八戸はテロリスト。

敵対関係だ。

遭遇すれば即殺し合いをするような間柄だし、窮地に陥ったからといって救出してやる理由も謂れもお互いない筈だ。

…はっきりした理由を聞くまで、俺達は八戸に迂闊に背中を向ける訳にはいかない。

頑として動かない俺に呆れたのか折れたのか。

「……」

八戸は小さく溜息をついたように見えた。

そして言う。

「大した理由じゃない…利害の一致…」

「利害の一致?」

オウム返しに俺が訊ねる。

「そう…この無法地帯を単独で調査して回るには…私も骨が折れる…腕利きのパートナーがいれば…生存率も任務達成率も上がる…一人より二人…二人より三人…それだけの話…」