俺には一つ気になる事があった。

八戸はスナイパーライフルを手にしている。

そして俺達を追跡していた大型トレーラーは、二発の狙撃によって横転した。

この事から導き出される事実…。

「八戸…お前、俺達を助けたのか?」

彼女はテロリストであり、公安警察に所属する俺は彼女の敵対組織の一員だ。

本来ならばあのまま見殺しにしていてもおかしくない。

だが。

「そう」

無表情のまま、八戸は俺の問いかけに頷いた。

「あのトレーラーを狙撃したのは私」

それは、俺とハルカにとってはあまりにも意外な答えだった。

テロリストである八戸がこの場にいる。

という事は、彼女がこの街の異変の元凶であると信じて疑わなかった。

この街の異変は、八戸由岐の新たなテロの結果だと考えていたのだ。