運転席で、同胞…という概念があるのかどうかは定かではないが…錯乱者達を轢死体に変えていきながら、それでも愉悦に表情を緩める同じ男性の錯乱者が、確かに見えた。

自分と同じ錯乱者を迷いなく轢き殺すのだ。

その矛先は。

「!!」

当然俺とハルカにも向けられる。

滅茶苦茶な挙動で方向転換し、こちらに突進してくる大型トレーラー!

言葉よりも先に体が反応した。

横っ飛びに飛んで、ハルカを地面に押し倒す!

「きゃあっ!」

乱暴にハルカをアスファルトに倒す結果になってしまったが、そのお陰でトレーラーはほんの数十センチ横を猛スピードで走り抜けていった。

「……!」

あと数秒も遅れていたら、肉体は原形を留めていなかったかもしれない。

その事にハルカは顔を青ざめさせていた。