同時に。

「！？」

メインストリートに立ち並ぶ店舗を破壊しながら、蛇行しつつ突進してくる大型トレーラーのエンジン音に意識を奪われた。

フラフラと、安定しない運転で走行するトレーラー。

酔っ払いが運転しているのだろうかと思わせるほどの酷い蛇行だ。

車体が店舗の壁を削り取るようにぶつかり、その衝撃でトレーラーの車体もどんどん変形している。

「ねぇ…あれやばくない…？」

ハルカもまた、トレーラーの異常な挙動に気づく。

更に遅れて、ようやく錯乱者達もそのトレーラーに視線を向けた時。

「！！！！！！」

まるで人形でも踏み潰すように。

トレーラーは錯乱者達を次々と撥ねた！

ブレーキを踏む様子も、ハンドルを切ってかわす仕草も見せなかった。

躊躇なく錯乱者達を、5人10人と撥ね飛ばし、それでも止まる気配すら見せずに暴走する！

むしろ動く人間を撥ねる為に暴走しているような動き。

その運転席に座っているのは俺達を囲んでいたのと同様、完全に理性を失った錯乱者だった。