ハルカを庇うように立つ。

どうする?

恐怖と焦燥に喚きたくなる感情を必死に抑え、冷静さを保つ。

とても制圧できる人数じゃない。

一人二人なら倒す事も可能かもしれないが、そんなものは焼け石に水。

錯乱者達を刺激する結果にしかならない。

一番妥当なのは、正面突破から囲みを抜ける方法くらいか。

うまく突破しなければ、最初に狙われるのはハルカだ。

失敗は許されない。

ギリッと、ハルカにも聞こえそうなほど強く歯噛みする。

タイミングを見計らい、錯乱者達の囲みを破る隙を狙う。

そして、連中がそれぞれ手にした凶器を振り上げて咆哮を上げた瞬間。

「今だ!」

俺はハルカの手を引いて走り出し。