建物の陰から走り出し、街のメインストリートに出た所で。

「………!」

絶句する。

…いや、ある程度覚悟はしていたのだ。

ホテルの窓から見た、街のそこかしこから上がっていた黒煙。

それを見た瞬間から、こうなっているのではないかという予測はしていた。

しかし、実際の目の当たりにすると言葉を失う他ない。

電柱に衝突し、炎を上げる乗用車。

正面から追突し、原形を留めないまでにひしゃげた大型トラック同士。

ショーウインドウが割れ、その中に転がっているのはマネキンかと思いきや人間の死体。

路上には、ホテルで見た女性従業員のように、服を引き裂かれて半裸にされた挙句輪姦されたのであろう、若い女が放心状態で横たわっていた。

その周囲に群がり、今も行為に及ぼうとしている十数人の男達。

背中を向けていた彼らが。

「っ……!」

一斉に正気を失った眼をこちらに向けた。