俺の意見など八割方スルーされ、ほぼハルカの一存によって決定した行き先は、山陰地方の中央部に位置するとある都市。

山陰最大の温泉地であり、全国的にも結構有名な都市なのだそうだ。

日本海を臨みながらの露天風呂などもあり、なかなか悪くなさそうだ。

「まぁ…恭一もあんな仕事で心身ともに疲れているんだろうしね…温泉でも入ってリラックスすればいいんじゃない?混浴だったりしたら…まぁ…少しくらいはサービスしてあげたりしちゃうわよ…」

何やら一人で頬を染め、口をとんがらせてそんな事を言うハルカ。

言い方こそ素直ではないが、彼女は彼女なりに、危険な上に激務な俺の事を気遣ってくれているようだった。