Dangerous city

まずはこのホテルの一階まで降り、建物の外に出る。

そうすれば、この街からの脱出などどうとでもなる。

そう考えていた俺は。

「……!」

思わず階段の途中で足を止めた。

その拍子にハルカがつんのめって俺の背中にぶつかる。

「痛っ…んもう!何やってんのよ恭一!」

突然立ち止まった俺に非難を浴びせるハルカ。

しかし俺はその言葉にすら耳を貸さず、ただひたすらに行く手を凝視する。

…目前には何もない。

ただ、電力の供給が止まったのか、薄暗いホテルの階段があるだけだ。

「何?どうしたのよ恭一っ、早く逃げないと…」

急かせるハルカに。

「しっ」

俺は黙るように促した。

「聞こえないか?ハルカ…」

声を潜ませ、俺は彼女に語りかける。