Dangerous city

ならば俺が取れる行動は一つだけ。

交戦は最小限に留め、逃げの一手を打つしかない。

上の階から聞こえてくる呻き声はどんどん近づき、尚且つその数を増やしつつある。

想像していた以上に、このホテルには多くの錯乱者が潜んでいたようだ。

そしてあの女性従業員のように、正気を保っている者は連中の犠牲となる。

暴力と本能のままに襲われ、犯され、命まで奪われる。

彼らは人の姿をした野獣に他ならなかった。

何より数が多い。

武器らしい武器を所持していない以上、連中との正面切っての交戦は避けた方が無難だった。

俺一人ならばどうとでもなるが、ハルカも連れている。

あまり無茶な行動は取れない。

一番安全な策をとる必要があった。