俺は手を差し伸べ、ハルカを引き起こす。

「大丈夫だ、あいつらはそういうのじゃない」

「何でそんな事分かるのよ?」

本気で不安なのだろう。

ハルカは酷く食い下がってきた。

「考えてもみろ。俺達は昨日の昼にこの街に到着したんだ。六道さんが言うには、事故や殺傷事件の通報が頻発し始めたのは昨夜から。あの錯乱者達が事件事故の元凶だとして…彼らがウイルスによって変貌したのだとしたら、一晩この街にいた俺達も、既にウイルスに感染して錯乱していてもおかしくないと思わないか?」

しかし、俺達には何の異変も兆候も見られない。

つまりあの錯乱者達は、何か別の要因によってあのような異常行動を引き起こしたという事なのだ。

飲食物や空気感染によるウイルスや寄生虫などとは違う、何らかの要因によって…。