やっとひと段落ついたと思った時だった。

「恭一!」

奥の部屋からハルカか叫ぶ。

「警察に繋がったんだけど…!」

携帯を手にするハルカの表情は、困惑とも蒼白ともとれる顔色だった。

彼女の携帯を受け取り、耳に当てる。

「もしもし?警察か?」

呼びかけてみると。

『あひイィィイ…ひぃはァァアぁああフゥイァはァああアァア』

聞き覚えのある不明瞭な声が受話器越しに聞こえた。

…俺は迷わず携帯を切る。

「恭一、どうなってんのよ?何で警察に繋がらないの?」

軽く混乱気味にまくし立てるハルカ。

「警察だけじゃない…」

俺は部屋の窓の外…街のあちこちから立ち昇る黒煙を見ながら呟いた。

「面倒な事になっているかもしれない…」