助けを求めるハルカにも、俺はもう応えてやれない。

どうしようもなく重い瞼を閉じようとした、その時だった。

「永瀬えぇぇえっ!」

けたたましい爆音。

空を引き裂くような機関銃の音。

そして、俺の名前を呼ぶ声。

「ぅ……っ…」

アスファルトにキスしたまま、微かに瞼を開ける。

俺の髪の毛が、強風にかき乱される。

それがヘリのメインローターの回転によるダウンウオッシュだと気づいたのは、俺とハルカに群がっていた錯乱者達が次々と射殺される姿を見てからだった。

ゆっくりと視線を上げる。

「永瀬!ハルカちゃん!無事か!」

上空に滞空する機関銃を装備した武装ヘリ。

そのヘリの中から、スナイパーライフルを構えた六道さんが叫んでいる姿が見えた。