Dangerous city

部屋の入り口付近で聞こえる揉み合う声に気づいたのか。

「恭一、どうしたの?」

ハルカが奥の部屋から出てくる。

「ハルカ、来るな!」

俺は従業員の包丁をかわしながら叫んだ。

どうなってるんだコイツ!

白刃を回避しつつ、従業員の顔を見た。

紅潮し、過度の興奮状態に陥っているような表情。

両の眼をひん剥き、明らかに冷静さを失っている。

精神的混乱状態なのか、或いは薬物による錯乱状態にも見える。

とにかく刃物を持たせて放置しておくには、あまりにも危険な状態だった。

「ハルカ、すぐに警察に連絡」

「わ、わかった!」

ハルカか自分の携帯電話を取り出す。

その間に俺は、従業員を何とか取り押さえる事にした。