戸を蹴破り、素早くべレッタを構えて周囲を見回す。

幸い、この裏口は錯乱者達に包囲されていないようだった。

「よし、行こう」

俺が先頭、続いてハルカ、八戸が最後尾を守りながら、細い路地裏を走る。

…ポケットの中ではまだ携帯電話のバイブが振動していたが、今は電話で話している余裕はない。

まずは安全を確保する。

電話に出るのはそれからだ。

路地裏を抜け、大きな通りへと出る。

「ちっ!」

八戸が咄嗟にショットガンを構えた。

待ち伏せしていた複数の錯乱者達に発見されたらしい。

「まともに相手するな!全部始末していたらキリがない!」

俺はハルカの手を引いて走りながら、八戸に告げた。

「わかっている…!」

牽制の為にショットガンを何発か発射しながら、八戸も俺達の後に続いた。