Dangerous city

「もしもし、朝食をお願いしたいんだけど。洋食を二人分」

『うはァァあ…ヒハァァアァぁぁあはァァああ』

聞こえてくる声は相変わらずだ。

俺は小さく溜息をついて受話器を置いた。

「どうしたの?」

着替え終わったハルカが俺を見る。

「ん…フロントに出てきた奴と話が出来ない」

「話が出来ない?何よそれ」

ハルカが訝しげな顔をした。

そんな馬鹿な事ある訳ないでしょ、と言いたげな顔。

「チェックアウトする時に苦情の一つも言ってやらないとな」

俺は椅子から立ち上がり、仕方なく外で朝食をとるべく外出の準備を始める。

と。

「!」

部屋のドアをノックする音。

どうやら従業員らしかった。

あれで朝食のオーダーができていたのか?

それとも不手際を詫びる為に従業員が謝罪に来たのだろうか。