シンナバーだけシングルの部屋へ向かい、あたしとスフェーンは1つ上の階のロイヤルに上がって行った。
何か、二人きりになったら急にスフェーンの表情が優しくなった気がしたんだけど気のせいかな?

「さっすがロイヤル…大きなドアだー、入ろーッ!」

『う、うん』

スフェーンはあたしの手をとると引っ張るように、ロイヤルらしさ満点の立派なドアの先へと進んだ。
ロイヤルはいきなりベッドルームがある普通の部屋と違って、シャンデリアのある応接間や、更に個室まであって室内の装飾も流石ロイヤルと言える妥協のない豪華さだ。

「ほらーッ!おチビたん見てごらんよッ!」

スフェーンが奥で大きな声を出してあたしを呼んだので行って見ると、そこには大理石で作られた泳げる程大きなお風呂があった。
なんとお湯が何かの動物みたいな彫刻の口から注がれていて、いつでも入れる様に浴槽にお湯が満たされているじゃないか。

『うっわぁーッ!お風呂が大きいッ!』

「でしょー?やっぱりロイヤルでよかったよねー」

そう言いながら、スフェーンはあたしのローブをほどき始めた。

『え…?ちょっと…もぅ?』

「モタモタしてたらシンナバーが来ちゃうよ?その前にお風呂に入っちゃおうよ」

『あぅん、でも自分でやるから』

「いいの、あたしがしたいんだから」

その時あたしはハッとした、ある事を思い出したんだ。
あたしの体にはクリーダが付けた印がいくつもついている、このままだとそれらをスフェーンに見られてしまう。
もし見られたりでもしたらきっと永遠にネタにされる事だろう、クリーダとの事を馬鹿にされたりネタにされる事だけは絶対に嫌だ。

『あ、あの…お願いが』

「うん、なーに?」

『灯り、もっと暗くしていいかな?』

「えーッ?なんでよ」

『何か恥ずかしくて』

「おかしい事言うのね、まぁいいけど」

あたしは灯りの数を減らして暗くした、歩ける程度の灯りだけを残してね。