段々と本性を現してきたスフェーンに、あたしは夜になるのが今から恐ろしかった。

今になっても彼女があたしに執着する理由がわからない。
明らかに元クラスメートに対してって感じじゃないし、ただのいじめの対象って訳でもない。
スフェーンがあたしに興味ある様な事をよく言ってるけど、それは話のネタなんだろうし、もし本当にそうならもっと大事にしてくれるはずなんだ。さっきみたいな事なんてするはずないんだ。
スフェーンは魔法学校の時だって、いつだってあたしが嫌がる事してはシンナバーと笑ってた。それをあたしはずっと我慢してたんだ。

彼女の事は今もやっぱ大嫌いだけど、それはそれで気になる所でもある。

それでさっき言ってた様に、あたし達は今夜の宿探しをしてたんだけど、今あたし達はナボラで一番大きなホテルの前に立っている。
こんな豪華なホテルは魔戦士組合の仕事で絶対泊まる必要性はないだろう。スフェーンは一体どういうつもりなんだろうか?

「スフェーン!?まさかこんな高そうな所にするの?」

この清楚な街にはちょっと似合わない感じなホテルだけど、大きな街から偉い人が来た時の為なのかな?

「今回は特別にね」

「ふぅん、いつもすっごい安い所しか泊まらないのにねー?」

そして、シンナバーはニヤリっとあたしを見た。別にあたしは何の期待もしてないよ、どうせあたしだけが待遇悪い事位は分ってるさ。

「ひっどぉーいッ!」

でもそう叫んだのはシンナバーだった。

「スフェーンとおチビがロイヤルで、なんであたしがフツーな訳!?
 ひいきだひいきだーッ!格差社会だッ!訴えてやるッ!!」

「しょうがないでしょー?2人部屋がロイヤルしかなかったんだから
 料金も少し安くしてくれるって言うし、シングル3つと料金も変わらないんだから」

「なんちゃってねッ!後で遊びに行くから入れてよー?
 じゃないとピンチになってもギリギリまで回復してあげないからッ!」

ふむ、あたしがまさかロイヤルに入れるなんて思わなかったな。
こういう場合、絶対逆になるもんなんだけどね。

「それじゃぁーねッ!夕飯の時間になったら行くからねッ!モタモタしてるんじゃないよッ!?」