お昼を少し回った頃、あたし達はナボラ湖に到着した。
ナボラ湖は美しい水を湛え、全ての物音を吸い込んでるかの様にとても静かだ。
スフェーンとシンナバーは途中からずっと寝てくれてたよ、そのお陰で少しの間だけど平和でいられた。

「んー!やっぱり湖の辺りは空気がおいしいねーッ!」

「それよりお腹すいたーッ!」

「シンナバーっていつでも腹ペコだよねぇ
 しょうがないなぁー、確かここにはあの街があったよね、行ってみるかーッ!」

「あの街」はナボラ湖に面し、名をそのままナボラと言う。
ナボラには街の中央に大きくてすっごく奇麗な教会があるんだ。
ナントその教会を中心として十字に道が伸びてるの、つまり街全体が十字架になっててそれが結界になってるって話。
そんな街だから街の住民の多くは聖職者、正確には聖職者が集まってくるのかな?
シンナバーみたいなのはまずいないと思うよ、みんな殺生は絶対しませんって感じでつつましやかに歩いてるからね。

「あらー?こんな街にもダック・ドナルドとかあるんだ」

「うそーッ!まさかまさかだねッ!あっちになんてセンタッキーもあるじゃない!」

「他にどんなのがあるのかしら、ちょっと見て歩こうよ」

「あッーーーッ!みてみてーッ!?シスタードーナツの本店だってーッ!」

「決めた、シスドにしよう!」

シスタードーナツは、この街のシスター達が巡業する聖職者の為にお店を作ったのがはじまりらしい。
聖職者は基本的にお肉は食べないから、普通のお店には入りにくいかららしいよ。
それが大ヒットしてチェーン店が今やどこの街にもある位になっているんだ。スイーツ大好きなあたしはもちろんシスドは常連だよ。
因みに、シンナバーはいつもモリモリお肉食べてたけど、菜食主義になれば毒気も薄れるんじゃないかとあたしは思ってる。