「即興にしてはまぁまぁかー」
「そんな事言っちゃダメよ!おチビは乗り物作る位しか能がないんだからもっとホメ殺ししなきゃ!」

このやり取りがいちいち疲れる、だけどこんな程度はどうって事ないんだ。もっともっと嫌な事があるんだよ。

「席はおチビたんがここで、あたしがここねーッ!
 そんでシンナバーがここーッ!」

「ひどーい!それじゃあたしがおチビに届かないじゃん!」

「だっておチビたんはあたしのだしぃー」

「こらッ!おチビはみんなのおチビなんだよ!だからおチビには人権はないんだよ!」

「シンナバーって言う事がホント冴えてるねー!
 その冴えに免じておチビたんを半分与えよう」

「わぁい!今晩のご飯にするよッ!煮て焼いて食ったら木の葉で隠すよッ!」

シンナバーはこんな風に一見意味がわからない事言う様で、的確な精神的ダメージを与えて来るんだ。
結局あたしが真ん中で、右にスフェーン、左にシンナバーと左右とも挟まれる事になってしまったよ。

とっても気が重いけど、あたし達の乗った乗り物はナボラ湖方面へ向かって進みだした。

「そういえばさ、昨日魔戦士組合にいたクリ何とかっての何なの?」

『クリーダの事?お仕事のパートナーだよ?』

「そのクリーダって人が、おチビたんと組もうって言ったんだって?」

『う、うん…』

「しっかし、物好きよねーッ?
 乗り物以外に取り柄のないあんたと組もうなんて」

「まさかいやらしい関係?」

「でたね!ライバル意識!
 次回スフェーン大ピンチ!乞うご期待!」

『そんなんじゃない!』

「いやー、だっておかしよぉー?
 絶対おチビたんとペア組んでも得しそうもないのに頼んでくるとかって」

「つまり、あたし達も今損してるって事だねーッ!
 なんなら迷惑料は体で払ってくれてもいいんですよ?だがスマイルは0丸だったッ!」

「ぷッ!シンナバーあんた最高ッ!」

「はぁー、今日はなんだか朝からお腹すいちゃった!おチビ!お前を食べるッ!」

「あたしもおチビたん食べるーッ!」

あたしは左右からガジガジかじられた。

憂鬱なあたしと悪魔の様な二人を乗せたこの乗り物は、ナボラ湖に向かって進んで行った。