「でもさー、場所ってどこだっけ?」
「何忘れちゃってんのーッ!ナボラ湖だってば!そこで鬼退治するのッ!」
「おッ!鬼ッ!!!アハハハハハッ!!鬼は違うだろォー!」
「あれぇ?鬼じゃなかったっけ?確かそう聞いてたんだけどぉ?」

あたしはこのしょうもない盛り上がりに心底うんざりだ、はたから見ると面白そうな二人に見えるらしい。
魔法学校であたし達3人って周りからは仲良しだと思われていたからね。
他のクラスメイトに会ったりすると、「スフェーンは元気?」とか「シンナバーは?」とか聞かれたよ。あたしはその名前のかけらすら聞きたくない位に二人が嫌いなんだ。

しょうがないから一応二人のクラスを説明するとね、スフェーンが攻撃型の魔法を使うソーサラー、シンナバーが回復系の魔法を使うプリースト。
シンナバーみたいな毒舌がよく聖職者になれたもんだと思うけど、一応これでいて教会の娘なんだ。信じられないけどそうなんだ。
そして、諸悪の根源はスフェーンだ。

「ほらッ!おチビたんはボーっとしてないで乗り物出す!」

『でも材料がないよ』

「だったら探して来ればいいじゃない?ほら…さっさと行く」
「そして二度と生きて帰って来る事はなかった…スフェーンは冷たくなったおチビを見つけて踏み潰しましたとさ」
「なにそのバッドエンド!面白いじゃない!」
「でしょー!?」

あぁもぉ嫌だ。

スフェーンに言われ、あたしは乗り物の材料を探しに行った。
乗り物と言ってもあの軍の乗り物は使いたくなかった、あれはクリーダとの思い出がありすぎるからね。
今頃クリーダはどうしてるのかなぁ…ずっと怒ったままだったらイヤだなぁ…クリーダの事を考えるとため息が出てしまう。
少し探して何とか材料になりそうなものを見つけると、小細工魔法で乗り物を作って魔戦士組合に戻った。