それからいつの間にか眠ってしまい、あたし達が目を覚ました頃にはすっかりお昼をまわっていた。
よく寝たらすっかり体が元通りに動く様になったみたいだ。クリーダはちょっと残念そうな顔してたけどね。

元気になったら急にお腹がすいて来た、そしたらベニトのお母さんがお昼ご飯をご馳走してくれたんだ。
何だかベニトのお母さんにはお世話になってばっかだなぁ。
ベニトのお母さんはアンドラって言う名で、今はベニトと二人暮しらしいんだ。
でもね、お父さんの事を聞いたらちょっと困ったような顔してた。
何か言いたくない事情があるんだろうね、だからそれ以上は聞かなかったよ。

ご飯のお礼にあたしは家の補修と、ベニトには勉強机と椅子を作ってあげたんだ。まぁ、ベニトはツリーハウスの方がお気に入りなんだろうけど。

その後、あたし達は村長に今回の仕事の完了のサインをもらいに行った。

「うーむ、しかし本当におったとはのぉー」

『そのおったって一体ナンダんにゃん?』

「こっちの話だ、気にするでない」

「それではここにサインをお願いします」

クリーダはあえて流れを無視して進行してくれたよ。下手に話を合わせるとまた話が横道にそれまくるからね。
この村長、何故か鬼を退治した事には感心がないのか、特にどうのこうの言われなかった。
証拠の鬼の首を持って来たか?とか言われなかったのは幸いなんだけど。
村長がサインをしてくれたのを確認すると、あたし達はさっさと切上げようと外に出ようとした。

そしたら村長が、

「ゲジローにもたまには来いって言っといてくれ」

とか、意味不明な事言ってたよ。
まさかの長老は、あたし達が本当にゲジロー一味とでも思ってるんじゃなかろうか?
そもそもこの村長、子供向けの漫画のキャラクターなんてよく知ってたもんだ。


さぁーッ!仕事もバッチリこなしたし、胸を張ってあたし達の街に帰ろう!


アンドラに帰ることを告げると、帰りに食べるようにってドーナツをくれたんだ。
ベニトはと言えば、ずっと下を向いていたよ。短い間だったけどやっぱり別れが辛いんだろうね。しょうがないから最後にギューッってしてあげたら泣いちゃった。
あたし達はベニトにとって、いい思い出を刻む事が出来たのかな?