それはもちろん、ルクトイ達を無力化してしまった事だ。

『ルクトイ達をどうやって無力化したんにゃん?』

「魔法には科学的な原理があります
 例えるなら時計の歯車の様なものなのですが、その歯車を1つでも抜いてあげると魔法は失敗してしまいます
 わたしはただ1つの歯車を抜いてやっただけです」

そう簡単に言うけど、相当な知識と魔法の能力が必要とされるはず、少なくともあたしにはチンプンカンプンさ。
だってそもそも「科学」という単語がどういうものか知らないからね。
そう言えば、最初にルクトイの主砲について「一般的な精霊魔法と同じ方法で放たれている」って解説してたけど、あの時の自信満々さはそれへの対策が出来るからこそだったのか。

乗り物がドラド村に到着し、クリーダはあたしを背負って乗り物から降りた。
そしたらベニトが凄い勢いで家から出てきたよ、さっすが子供って早寝早起きだね。

「やっぱりなぁー」

『なんだんにゃん』

第一声に込められた意味は大体分かるけどね。

「娘ネコっていっつも真っ先にやられるんだもんな」

『うぐぅ…』

今回は全く反論出来ないね、行きの移動には貢献出来たけどその後は散々だったから。

「ベニトさん、この娘をツリーハウスまで運ぶのを手伝ってもらえますか?」

「しょうがねーなぁ」

ベニトはハリキってあたしをツリーハウスに運ぶのを手伝ってくれた。
運び終わった後のベニトの一言は。

「お前ってさ、子供じゃなかったんだな?少し母ちゃんみたいだ」

『うむ?』

なんだってーッ!?って事は今まで子供だと思われていたのかッ!!

きっとベニトが後何年かして、大人の女の魅力が理解出来る様になった頃、あたしを思い出すのだろうな。思い出しちゃうんだろうな。

ならば、心に残る程の思い出を作ってあげねばなるまい。