言ったものの自由に動けないあたしに、クリーダが白くやわらかい部分の肌を唇に寄せてくれた。
その白い肌はクリーダの匂いが凄くした、ウッハァ~いい匂いだぁー。すっごく幸福な気分に満たされてるよー。
クリーダはゆっくりと、そしてやさしくあたしの髪をなでていてくれた。
白い肌から唇が離れると、そこにあたしの印がついていた。これでもうあたしのもの?だよね。
クリーダは、あたしの印が付いたのを見て満足そうな顔をしていた。

「またつけてくださいね」

にっこり微笑むクリーダに

『うむ、まかせておくのだんにゃん』

と答えるあたし。

あたし達の乗った乗り物は朝焼けの空の下で、ドラド村が遠くにかすかに見える辺りで停められた。
きっと昇り始めた太陽の光が、この乗り物に長い影を作らせている事だろう。
何故停められたかって、そりゃぁ村に入るなら身支度はちゃんとしておかないとだからね。
あたしはまだ自分で出来ないから、クリーダがやってくれてる訳なんだけど。

『ねぇ、ずっと気になってたんだけど、
 なんでクリーダには麻酔が効かなかったのかんにゃん?』

「いえ、ちゃんと効いてましたよ」

『へ?そうなのかー!でも随分早く回復したもんだんにゃん』

「麻酔の成分はわかってますからね、急いで解毒していたんです」

『おぉッ!そんな事が出来たのかー!
 んで、いつ頃動ける様になったんにゃん?』

「ルクトイの前に運ばれた頃です
 あなたが周囲の気を引きつけてくれていたので、ずっと解毒に集中する事が出来ましたよ
 何とか間に合ったみたいで良かったです」

そっか、それでずっと喋らなかったんだ。
でもまだ肝心な事がもう1つ気になってる。