危機一髪!…だったのか、実はそうじゃなかったのかわからんちんだったけど、あたし達は無事に目的を達成しドラド村へと向かっていた。

『ほらッーッ!見てみるんにゃん!手がーッ手がーッ!』

寝てる時に手が痺れた時ってうまく動かせないでしょ?今まさにそんな感じ、それが面白くて遊んでるんだ。
ご覧の通りやっと喋れる様になったんだけど、ちゃんと喋れないのってホントに辛いもんなんだね。

「キスマーク…いっぱい付けちゃいました
 後でいくつあるか数えてみてくださいね」

『んなッ!?キッキッ…ッス!?』

「わたしのっていう印です
 心配しなくても服の外から見える所には付けてませんから」

クリーダの顔は髪で目が見えない程うつむいていた、でもその口元はくっと上がっている。
多分すっごいニヤっとしてやがるんだろう。してやったり感を味わってるのだろう。

さっきから何かしてるとは思ってたけど、そんな事してたのかーッ!
もちろんとってもうれしいさ、その印とやらを早く見てみたいさ。
あたしが仰向けのまま首だけを動かして「ウーウー」してたらクリーダが起こしてくれて、さっきみたいにお人形を抱く様に膝の上に抱え込でギュッとしてくれた。

そして、あたしの手をとると指を絡ませ、

「ほら、ここに1つと、ここに1つ…」

クリーダはあたしの手を持ち、1つ1つあたしの人差し指でマークの場所を教えてくれた。

『ぎょぎょッ!また随分と付けてくれたもんだんにゃん』

「フフっ、まだ他にもあるんですけどね」

クリーダは少し得意そうに全ては自分のものと言うかの如く、あたしの全身くまなく手を滑らした。

『自分だけズルいんにゃん!あたしも付けたぁーぃ!』

「付けてくれるのですか?」

喜んだのかな?なんかクリーダの声のトーンが少し上がったよ。
クリーダはあたしの背中を浮かし手で膝を持ち上げると、膝の上であたしの体をクルリと回転させそっと抱え込んだ。
うーん、面と向かってみると結構ドキドキするもんなんだなぁ。