あたしがルクトイが気になる理由、小細工魔法は召喚魔法に似ている所があるんだけど、あのルクトイは召喚は必要ないけど召喚士が召喚した魔獣とほぼ同じだからなんだ。
召喚魔法は操るものを召喚して、小細工魔法はこの羽ばたき機や荷馬車の様にその場で作り出すって違いはあるけどね。
因みに小細工魔法は何かを作り出す為に特に材料は選ばない、地面の土だろうと井戸の水だろうとゴミの様であっても実は何でもいいんだ。
あらゆるものに小細工を施す事が出来、しかも維持する為の魔力が必要ない。
そのお陰でかなり大きなものも操る事が出来たりするのだ。
例えばルクトイクラスの質量だって扱えるんだけど、それは召喚魔法でも上級者ならもちろん扱う事が出来る。
ただし、召喚士は召喚中は常に魔力を消費し続ける為、比較的短期決戦で決めたがるんだけど。

とりあえずは、ここに来てやっとルクトイのいる空だけが、変な感じで明るい理由だけは分ったよ。
ルクトイの主砲がいかに強力とは言え、あの爆発だけじゃこんなに明るいはずないからね。
今は真夜中のはずなのに、辺りは薄暗い夕方程度の明るさがあるんだ。
その理由は、ルクトイがたまに空に向かって何か打ち上げているんだけど、その打ち上げたものが雲を発光させているらしい。
空が燃える様に見えるのは、ぼんやり光る雲に爆発の炎の赤が映ってるからみたいだ。

『さっきの人はまだかんにゃん?』

いい加減暇なので、兵士の1人に声をかけてみたけど、やっぱり目だけ動かすだけで無言だった。
羽ばたき機の羽をいきなりわさわささせて脅かしてやろうか、と目論んだ時にさっきの男が戻って来た。

「お前達は魔法使いか?」

『うむ、魔法使いだんにゃん』

「そうか、ならばあの中では特に気をつける事だ
 不用意に魔法を使った場合、適切な処置をとらねばならぬからな」

『ふむり』

「ついて来い、将軍に合わせてやる」