あたし達は軍のテントの前で兵士たちに包囲されたまま、さっきの隊長らしき男の帰りを待っていた。

包囲している兵隊達、剣は鞘に収めたんだけど、無言のままあたし達を取り囲んでいるよ。

うっはー!何かイヤな感じだなぁー!

場の緊張を解そうと思って、せっかく渾身のアクションを放ったのにコイツらと来たら一言も喋らないんだよ。
ノーリアクションってどんだけ恥かかせてくれるんだーッ!?
あ、もしかして軍の兵隊ってすっごく不自由なのかな?そうならしょうがないかー。
任務中の勝手な行動は怒られちゃうんだろうね。うん、きっとそうに違いないさ。
後で「あの娘ネコかわいかったな~!また見たいなぁ~!」とか、「じゃぁオレは氷女がいいな」とか言って盛り上がるんだろうな、文字通り盛り上がるんだろうな。

…うげ。

そんな冗談は置いといて、こうしてる間もルクトイ達の演習は続いていて、何もない砂地には轟音が響き渡ったままだし。
あー、早く終わらして帰りたい。
そう思ってちらりとクリーダを見たら、彼女は羽ばたき機に腰掛けて頬杖をついてぼーっとあたしを見ていたよ。まぁ…考えてる事は大体同じだろうな。

辺りの他の様子はと言えば、テントの入り口に灯りが2つ、その入り口の両脇に兵隊が1人っつ。そのテントの中は全く見えない。
他のテントも大体そんな感じだけど、人が余り外にいないって事はテントの中にでもいるんだろうか?
それにしても、あのたくさん居るルクトイってどうやって動かしてるんだろう?
専門の魔法使いがいるのか、それとも何か道具を使っているのか。
教科書にはそこまで載ってなかったからねー、そこが一番知りたいのに。
兵器としてなら魔法使いがいらない方が便利なんだろうけど、いくら何でもそこまで便利なのかどうか。