山を越えると、そこにはあたし達の想像を超えた光景が広がっていた。

落ち着け…まずは見たままを言おう。

山を越えた先には、見渡す限り何もない砂地が地平線が見える程広がっていた。
あたし達の真っ直ぐ前が西だから、見てる方向の左が南で、右が北なんだけど、その北と南には巨大な化け物がそれぞれいっぱい居て、双方で激しく攻撃しあっているんだ。
巨大な化け物達はチカチカと光り、その後敵対する相手に激しい爆発が起こる。
その度に雷を近くで聞く様な、痛々しい音が響き大地が震撼した。

『これは一体…何なんだんにゃん?』

「あれは光線ですね」

『もしかして、光線と交戦をかけたのかんにゃん』

「…え?」

何だ偶然か、駄洒落を言ったのかと思った。

『そか、ドラド村の人はあれを鬼って思ったんだんにゃん』

「えぇ、そうみたいですね」

巨大生物は確かに村長が言う様に、体長10メートルは超える巨体をしているよ。
下半身の割に上半身が異常に発達した様なその巨大生物、たまに光るのは光線の様なものを放っている為だった。

でもさ…

「残念ながら、あれは鬼じゃありませんね」

『そうだんにゃん』

鬼ではない巨大生物、それは「ルクトイ」と言う人工生命体だ。
人工という事はもちろん自然に存在する生物ではなく、人間によって作られた合成獣なのだ。

ルクトイは人型で、体は青黒い色をしている。
頭には大きな目の様なものが1つと、小さな目が複数おでこの位置に配置されている。
大きな目は遠距離までに届くルクトイの主砲で、その破壊力と来たら壮絶だ。
今撃ちまくってるのがそうなんだけど、あの一撃でドラド村などは跡形もなく吹き飛んじゃうんだろうな。

あたしがこんなものを何故知ってるかって理由?それは魔法学校の歴史で習うからなんだよ。
ルクトイは100年近く昔の世界大戦の時、マトラが使った対城攻略用の兵器なんだ。
100人の魔戦士組合員にアンケートを取ったとしても、まずガチでは戦いたくない相手と言うんじゃないかな?
それがざっくり換算で30体程見えるんだ。これだけでちょっとした戦争が起こせるよ。