あたし達の初仕事で向かっているのは、マトラ王国の辺境にあるドラド村という小さな村である。
そのドラド村は、1度も行ったことないからどんな村かは全く分かんない。後でのお楽しみだ。

それで今回の仕事の内容だけど、これがなんだか凄いんだよ。
ドラド村にたまーにやって来ては大暴れする鬼がいて、その鬼を退治して欲しいっていう何とも楽しそうなものなのだ。
なんたって今どき鬼退治ですよ?鬼ッ!魔物じゃなくて鬼なんですッ!

鬼と言えば有名な童話があったっけね、マモッタロウっていう大昔の童話が。
マモッタロウっていう子が主人公で、大好物が桃って言う初期設定があるんだけど、それは最初だけで後に桃は1回も話題にされない不思議な物語だったなぁ。

桃を食べて成長したマモッタロウはある日、ザルと絹と石を持ってお団子食べながら優雅に鬼退治に行くんだよ。
普通そこは桃だろう?って思うんだけどさ、まぁとにかくお団子な訳。

そんでイザ鬼のいる島にたどり着くんだけど、そこまでナント手に持っていたザルと絹で作った船で渡るという素晴らしさなのさ。
人が乗れる程大きいザルなんて手軽に手に入るものなのか?それの入手に全く困難がなかったってどう言う事なんだい?
しかも絹で小細工してないで、ちゃんと船用意しとけよってツッコミ所もあったりするが、とにかくこれは有名な童話なんだ。

でもって退治に使ったのが残った石、これに対しては何も言うまい。
そうやって一方的に鬼を成敗したマモッタロウは、鬼から金銀財宝をもらって家に帰ってくるんだ。

この話は、「鬼=悪」という設定が暗黙となっているから成り立ってる訳、なんたってここで退治された鬼は、ただ島に住んでただけで別に村に悪さをしていた訳じゃないからね。

って昔の童話にも出てくる位で、常識的には鬼っていうのは架空の存在なんだ。
それに比べると魔物はよくいる存在で、よく討伐の対象にもなってるみたいだけど。
今回この仕事を選んだのは「鬼」っていうワードにピンと来たからだったんだ。

本当は「伝説の鬼というのをぜひ見てみたい!」っていう興味心が大きいかな?
それに、魔戦士組合の難易度評価も低めだったし、最初の仕事としてはいいんじゃないかって。

おっと、お喋りしてたらどうやら目的地が見えてきたぞ。