『暫くあんたともお別れだねぇ
 ちゃーんとゴハン食べるんだぞ?』

ダイヤはゴロゴロのどをならして「にゃーん」と鳴いた。


クリーダと約束した時間が近づいたので、あたしは待ち合わせの場所へ向かった。
待ち合わせの場所は街からすぐの丘を上ったとこ。
走っていくとクリーダはもう来てたよ、時間に正確な人だね。

『お待たせー!待たせちゃったかんにゃん』

「………?今さっき来たとこです」

『そかー、じゃぁはりきっていってみるんにゃん』

「え…えぇ」

なんかクリーダは引いそうだなぁ、「んにゃん」はマズったかー?

『どうかしたのかんにゃん?』

「何か雰囲気変わりましたね」

『あたし、毎回キャラ作る事にしてるんにゃん』

「そうだったんですか、面白い試みですね」

あたしはこの間も「そういう設定だった」と言う事にしたかったんだけど、クリーダはどう思っているだろう。

『そうそう、目的地までは結構あるんにゃん?』

「そうですね、今日中にはたどり着けそうもない位の距離がありますね」

『まかせるのだんにゃん』

あたしは自己流「華麗の舞」を踊りつつ、ホイっと小細工魔法を使った。
辺りからは色んな素材が飛んできて、農家で使う様な荷馬車を作ってみた。
荷馬車に干草が積まれている、ごくスタンダードのタイプだ。
引っぱるのは生きた馬じゃなく木馬なんだけどね。